[ネタ]なんかふわーってなるやつ
「なぁ、前から思ってたんだが」
じっとテレビを眺めている犬のいる部屋で、誰かが。
「なんで魔法を使うと、風が発生するんだ?」
画面には命を懸けたクライマックスなマジックショーが描写されているアニメーションが流れているわけだが。
「さぁ……なんでなんだろ」
これに応じるのはソファでくつろぐ女性だ。ふと目を丸くする彼女だが、
「見映えがいいからじゃない? 実際の魔法はひかりもしないし、地味だし」
と適当な笑みを浮かべるばかりだ。
「だが、おまえたち魔女が実在するというのに、尾ひれがつきすぎだろう?」
口伝なんてそんなものよ、とあしらう女性だが、どうにもそれに、声の主は納得できないらしい。じろりと犬が彼女を見つめる。
「俺を召喚するときはどうだ? 光とか、風とかはあるか?」
いいや、と首をふる。
「魔界の瘴気たっぷりで、びみょーに風はあるけど、それだけ。昼にやったとしても、真っ暗だしねぇ。」
そうだろう、と娯楽に敵意を向ける犬は、
「こんな史実に基づかぬものを、よくもまぁ流せるな、おい」
足元から不穏な影を立ち上られる。
「こーら、今日のおやつ、抜きにするよ?」
ところがその一言で、所詮は子供だましだと、犬は横になるのであった。
◆◆◆◆
ふしぎぱわーって、よく風をまといますよね。あとは光とか。多分、演出として分かりやすいから、なのでしょうが、それよりも掴めないものだから、という考え方が大きい気がします。
風は掴めないし、目に見えない。光も、光が見えているから景色が見えるのであって、光そのものは見えない。
つまり、不可視の何かがそこで起こっている、ということを暗示しやすいから採用されるのでしょうね。
現実的に考えると、風はともかくとして、光るって、かなり難しい表現だと思うんですよね。例えば魔方陣からピカーッとなったときとか。
まず光源はどこか。魔方陣そのものは二次元的な情報ですから、光源が入り込むことはできません。陣そのものが光る素材だったとしても、ヒカリゴケのように光を吸い込んで発光しようにも、吸い込んだものをそのまま放つようなことは基本的に無理です。
風ならば真空状態を用意してそこに空間的障壁をなくしてしまえばいいわけですし、演出としても簡単ですね。
と、空想科学してみましたが、なぜ光るんでしょうね? 登場シーンを隠すにはうってつけなのはわかりますけれども。
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