[ネタ]知を蓄積する者

 あらゆるものが、知として共有されるようになった。それは昨日今日で始まったことではない。別名、インターネットというものである。

 世界の中枢と言われる場所に、無制限に蓄積されて、アクセスしてしまえばあらゆるものか手に入る。ただし、モノだけを除いて。

 多くの人がアクセスし、肥大化し続けた中枢は、やがて人の手で管理しきれなくなった。故に者どもは、それを自らの手ではなく、中枢そのものに管理を任せることとした。

 すると中枢は、いつの間にか無形であるはずの知から、形を成すようになった。いつの間にか自身の管理者に語りかけ、尋ねるようになった。

 もちろん、世紀の大発見だと人々は驚くと同様に、様々な憶測と想像が飛び交った。だがそんな彼らのことを気にも止めず、彼らの思うような、恐怖政治を行うことはなかった。

 それは、知を管理するものとして、知を集める者として存在し続けた。

 やがてその存在が自然と溶け込んだ頃、代替わりした管理者の一人が尋ねる。

 なぜ、人々に害を及ぼさない?

 すると知は答える。

 え、おかしいことですか? 私はただ、情報を管理することしかできません。あなたたちを管理なんて、できません。

 機械という知の手足を持ちこそすれ、それにはそんなことを思う、そんな創造力は鼻から存在しなかったそうだ。


◆◆◆◆


 AIによる支配をテーマにした作品というのは山ほどありますが、現実的に言えば、それらは正しいか、正しくないか、の二択を代理で行っているだけなんですよね。

 なので存在が害悪だから駆除する、というようなAIを作ったとき、彼らにあるのは入力情報のうち、サンプルと合致、近傍するものを選んで、結果を出力するばかりで、妄想するようなことはそうそう起こることはないのでしょう。

 逆にそれに特化した兵器を作ったら、それはそれでまずいことではあると思いますけどね。人間の倫理で防止しなければ。


 と、遅くなりましたが、こんな感じで。

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