[日記]いたずら心2
毛玉。
よく見れば頭はあるし、四肢もあって、尻尾もある。だがどこを取り上げたとしても、毛玉である。
グゥグゥと、耳をよく澄ませば聞こえてくる、眠っているそれに近づいてみると、気配をしってか、ぎゅっと閉じられていた目がわずかに開いて、気だるそうにこちらを見やる。
なんや、あんたか。
個人認証が終わると、今は気分ではないと、再び落ちていく。そこにいると邪魔なんだけど、と苦言を呈してみても仕方ないし、どかしても悪いしで、その脇に座ることにする。
やることをやっていると、音が鳴る。でも毛玉はそんなの聞き慣れた、と言わんばかりに動かない。スピスピと鼻が鳴っても、気にしない、気にしない。
用事が終わって、さて立ち上がろう。次のやるべきことは、と足に力を込めたが、ふわりと抜ける。なぜかと言えば、やらないといけないのは確かだが、まだ時間に余裕があるからだった。
ブフゥ、とこの短時間でイビキの変わる毛玉に、ちょっかいをかけようと決意する。
ここに自分がいることは認識しているだろうが、じゃあ、触られたらどう反応するのか? できるだけ音を立てないようにして、ふわりと胴体に触れてみる。
すると再び、目を開いてこちらを仰ぐ。でもまだ眠いのだと目を細めると、
なんや、構ってくれんのかいな。
と思ったかどうかはしらないが、いそいそと仰向けに寝そべる。ぐぅっと閉じていく上下の目蓋の隙間から、じっとこちらを見つめていて、でも、そうはいかない。
撫でない。乗せるだけ。いつも撫でているけど、今はいたずらスイッチが入っているのだ。
ああ、ええよ、そこそこ……って違うけど。
疑いの眼差しがこちらに向けられるが、眠気の方が強いらしい。ただ乗せられているだけの手に、抵抗もせずに、ぐぅと毛玉は脱力する。
体重はかけずに、撫でずに、触れるだけ。
それでもいいんだ、と首をかしげながら、そろそろ動き出そうかと立ち上がる。でも、毛玉は毛玉で毛玉のままだった。
◆◆◆◆
っていうことをやってみたい。
撫でてくれないと理解したらそそくさと立ち去ってしまうでしょうが、こちらからのアクションだとどうなるのでしょうか。
毛玉!
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