[短編(天地)]いたずら心

 無防備な姿をとることは、生きている上で必ずしもとらなければならない体勢だ。たとえ眠らないとうたわれる人物も、裏では細切れに眠っていたりするものだ。

 それは、目の前のこれにも言える。

 馬にしては毛皮ではなく鱗に覆われた、ふた回りは大きな身体。間違いなく草食ではない、閉じきれていない口から覗く牙。鞭のような長い尻尾に、下から持ち上がる目蓋のせいで、笑っているように見える目。

 終わりの見えない旅の道中、妙に寝付けなくて、焚き火も起こさずにいる。いずれ眠気がきてくれるだろう、と信じている。

 これは息をしているのだろうか? イビキも歯軋りも聞こえないので胸部を見てみれば、ゆっくりと上下していて、安堵を覚える。

 眠くない。横になっても意味がない。

 かれこれ夜も後半戦くらいだ。それでも頭が冴えて、どうしようもない。明日も歩くんだぞ、と叱責しても、それでも起きていたいとは、なんともわがままなことか。

 嫌な葛藤の最中、ふと、ドラゴンの額に目がいく。そこに宝石があるとか、第三の目があるとか、そういうのはないのだが、なんともちょうどよさそうな角度になっているのに気がついた。

 巨体を少しだけ動かして、地面に顎を置いて、腹這いになっている。

 そうだ、と思考の回る頭の決断は早い。

 これを起こさないように忍び足で近づいて、頭の横に。体高は俺の立ったときと同じくらいだし、頭部は予想通りの高さだ。

 いつも適当なことをいってからかうのだから、これくらいいいだろう。

 頬のあたりに座り込んで、額の辺りを肘掛けにする。仮に起きたとして、怒ったとしても、死にはしないのだから、これくらい。

 予想通りの高さは、不思議と身体から力を奪う。ふらりと肘掛けに体重を預けて、深く息を吐けば、ひんやりとした鱗に身体を預ける形になった。


◆◆◆◆


 久しぶりの天地、でしたけどちょっと描きたいこととは違ってきたかなぁ、と。

 こう、損にも特にもならないいたずらというか、そういうのいいですよね。寝ているとこに寄りかかるとか、された側も、気がついても、そのままにしておくとか。

 よし、描きたかったのは明日、やり直そう。

 どちらかというと日記になってしまうので、避けたかったのですが、できないのなら仕方ない。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る