[日記]窓辺の隣人

 先週とはうって変わっての晴れ模様。梅雨入りなんていう単語を、まだ遠くのものだと思っていても、きっと、すぐに訪れるのだろうと思う。

 少なくとも、明日、明後日のことではないことは確かで、それだけは安心してもいいかな、と窓を思い切り開いた。

 暑くも寒くもない、長袖だと汗ばむくらいの穏やかな日中。もう一年も、残すところ六割と少しだけ。毎年毎年、そんなものを数えていても仕方ないのに、考えてしまう。

 と、ガサガサという音が。

 また小鳥か何かか、とそちらを見やると、白い白い何かが見えた。

 カサリ、カサリとしなやかさを失った植物を尻尾で撫でている、野良猫だ。

 白い毛皮を堂々と晒して、枯れ草のベッドを味わっている。のんびり、ゆっくりとまどろんでいる、と思われる。顔までは見えないからだ。

 多分、このあたりを根城にしている子だろう。夜、窓越しに外を横切る白いものを見たことがある。


 気づけばもう、その姿はないが、今はどのあたりで寝ているのだろうか。

 そんなことを考えながら、さて、勉強をしようかな。

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