[日記]猫は炬燵に入らずんば

 猫がいる。

 猫といえば液体かつ個体であり、気分が乗れば近づいてくるものである。

 私は今、ソファの背もたれに、肘をかけて立っている状態だ。そして、猫は背もたれの上で、視線をうろうろとさせている。

 こやつらは、基本的に気分でないときは寝ている。炬燵しかり、彼ら専用の寝床しかりで。しかしそうでないということは、人間へのアピールを行っているということになる。

 試しに手を伸ばしてみれば、甘えようとするわけでもないが、逃げることもしない。ちょこんとはみ出ている手の甲に触れても、微動だにしない。

 オールオッケー、という認識をして、まずは顎を撫でてやることにする。抜けた柔らかい毛がふわふわと舞う。鋤かれるのが嫌いらしいこやつは、目を細め、グルグルと喉を鳴らし始めた。

 おう、そういう気分なんだな、こんちくちょうめ。

 じっとしているので、頭や背中もこねくりまわしてやる。抵抗なし。逃げない。この甘えん坊め。私を思い出しているとはいえ、このべったりは変わらないらしい。

 抱えあげて、膝の上へ。体勢が整うのを待って、まだ撫でくりまわす。

 抵抗はしない。ぬっくぬくなその身体は、ひたすらに、毛が乱れようともかまわないらしい。いくら触っても、どこうともしない。

 耳とか、額とか、腹とか。

 いや、本当にこれは猫なのだろうか? 固体差の範疇ではあるが、いやがる素振りは全く見せないべったりっぷりだ。

 この猫は、いつまでこうして撫でられるのだろうか?

 グルグルぐりぐりと、ゆっくりと時間は過ぎていく。


◆◆◆◆


 時期外れの帰省をして、猫を撫でくりまわしていました。実家猫s、私を覚えていたようですね。

 アピールをするので撫でてやると、グルグルグルグル聞こえるんですよ。腹を触られても平気な方はもうべったり。もう一方は甘えるターゲットを、暇そうにしているかどうか見計らって近づいてきました。

 こうして観察していると、全く性格が違うなぁ、とか思うわけですよ。爪研ぎグッズを使うかとか、食欲がどうとか。

 個体差って面白いですよね。人間も同様なのでしょうけれど。

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