[短編(市場)]のらりくらりと6
いくつもの本が積まれている。そのてっぺんでさえ埃が薄ら積もっているのだから、ここの住民は、大層片付けが苦手なのか、あるいは片付けをしていたのだと思わせる。
この部屋を管理している彼女は、窓から差し込む冷たい光のもと、机に突っ伏していた。座ったまま上下する背中には毛布がかけられている。
おそらく、彼女のものであろうメガネは、机の裾に。こちらには埃は積もっていないところを見るに、彼女は片付けをしていたのだろうか。
玉座の書庫は、いつまで経っても片付かない。先代までの王たちが作成したり、寄贈されたりした本が雑に積まれていたばかりで、本と本の間に埃の層を見つけたこともあるくらいには、管理が粗雑だったのである。
虫食いのものは、よほどの貴重なものなら修繕を依頼して、そうでないなら廃棄して。隣の部屋との壁を壊し、棚を作らせて、たった一人で全てを整理しようとしているのだ。
もっとも、ここに訪れる者はいないし、閲覧者もそうそういない。いるとすれば、物好きの考古学者くらいで、管理のために寄付をお願いします、と彼女は何度も口にした。
瞼に日差しがかかると、気だるそうに目覚める。ずり落ちる毛布に、また寝ちゃったか、と眼鏡をかけ、背中を伸ばす。
ゆっくりと立ち上がり、歩き出す。書庫を出て、外への扉に手をかけたとき、
「レミー」
その名を呼ぶ者がいて。
「これ、いただきませんか?」
振り替えれば、白いが、物騒な人がいて、その手には盆に置かれた大きめの軽食が、二つ。
彼女はノブから手を離して、はい、と答えると、釣られるように王のあとをついていった。
◆◆◆◆
本の虫、なんていう言葉がありますが、どちらかといえばレミーは整理好き、な性質です。
他の側近二人と比べれば、地味なんですよね。戦闘はまるっきりできないし、本編でも王様会議の進行係と、リエ君と話すくらいで。まぁ、そんなこと言ったらリドルは他の二人よりも出番はないですけど。いや、エプルがありすぎるのか。主人公張りに耳欠けの兎とやりあってましたからね。
で、本を積んだ机で、突っ伏し寝って、映えますよね。夜に頑張ってたんだろうなぁ、と思わせておいて、日差しに目が覚めると動揺などが見えかくれして。
現代ものなら、テストの一夜漬けなんてものの導線にも使えますね。
一夜漬けが本当に効果があるのかは分かりませんが、登場人物の必死さを見せるには便利なものかと思います。
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