[ネタ]誉めてあげる!
「こんにちは、勇者Aとなる者よ」
これは夢に違いない。そう確信したときのことであった。
歩いている感触のない、どこかふわふわとした無味無臭の空間にて、突如現れた眩しい存在は、言葉を発した。
「勇者Aさーん、聞こえてますぅ? ようこそ黄泉の入り口へー。聞こえてますー? あのー?」
いや、聞こえてる。聞こえてるけど熱を帯びたその光線をどうにかしろ。目が焼ける気がする。熱くはないが、これ以上直視してはダメだ、という本能的な感覚が、視線を背けさせる。
「あ、聞こえてるんですね。オッケーでーす。じゃあ本題入りまーす」
片腕で目元を隠して、もう一方の親指をたててやれば、ずいぶんと軽いノリのこいつは、神とでも名乗るのだろうか。
「どうもー、神様でーす。甲斐性もなく事故死したあなたを、閻魔様に代わって裁いちゃいまーす」
事故死?
「基本的にチームプレイができないゲーマーで、夕飯を買いに行った帰りに事故死。間違いなく親不孝ものってことで地獄に落とすところ、でーすーがー……」
事故死……たしかに、大きな衝撃が……。
「今回は特別、あなたを」
転生とかそういう……。
「ここで魂の原型を留めないくらいにメッタメタにして、キメラソウルの一部になってもらいます!」
え、聞いてた話と違うんだけど。
「あ、来世とか期待した? いやいや、キメラも生命体の一つよ? それともなに、自分は努力したけど報われなかったから同情でもしてほしかった?」
光輝く神は、煌々と。
「じゃあ褒めたとして、あんたは何か評価されることをしたの? 何か、勝てるようなものを突き詰めたりしたの?」
冷たく、淡々と。
「あるなら、思い出して反論したらいいじゃない。できないんでしょう? だからひとつだけ、褒めてあげるわ」
白の向こうに、何かを見た。
「次に生まれるキメラの魂の一部に、なってくれてありがとう」
◆◆◆◆
褒めてほしい。それは承認欲求から来るもので、自身を誰かに認識してほしい、という本能的なものなんでしょうね。
さて、転生ものにありがちな、なんだかんだと理由をこじつけて転生サセテアゲルヨォというやつ、そんなことなら、金持ちがなんでターゲットにならないのだろう、とか思うところです。
だってお金で仕事を作って、生活を送るための土台を作ってくれてるんですよ。その実力で異世界救ってください、とかにはならないんですよね。
それこそ、承認欲求が出てるんだろうなぁ、と。
ちなみに適当に作りましたキメラ、いろいろなものから回収した魂の破片をこねくりまわして18gにした魂を適当な生物に入れる、とかいうネタを思い付きました。
ちゃんと作れば面白くはなりそうですな。
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