[短編(オリ)]依州 継人2
気がつくと、俺は寝ていたらしい。宵闇にまぎれる見慣れた光景を布団の中で見上げていて、今なら天井の壁紙の模様を数えても、騒ぐ心臓ゆえに、眠れなさそうだった。
首がつながっていることを、確かめた。たしかに汗だらけの細い首がここにはあり、身体と頭をつなげている。
というのも先ほどまで、化け物たちが殴り合い、切り裂き合い、俺と相手というヨリシロを殺そうとしていたのだ。あと一瞬でも遅れていたらこの首が飛んでいたところで、一方、相手の少女は無傷で、終了を知らせる鐘が鳴ってしまったのだ。
静寂の中下された判定で、俺の化け物の勝利だった。その基準は、知りたいとも思えないが、にたりと笑ったやつはこちらをじろりと見やると同時に、俺はこうしていることに気がついた。
寝ていたってことは、夢だろう。そうだ。霊もヨリシロなんてものも、ぜんぶぜんぶ、頓珍漢な夢。落ちたり、廃駅を歩くよりも、たちの悪いもので決まりだ。
一時の娯楽としては、よかったかもしれないが、命がいくつあっても足りない、とはまさしく、このこと。二度とあの化け物に遭うことなどないことを祈りながら、もぞもぞと寝返りをうつ。
明るくなった室内。
照らされる意識。
まどろむ眼差し。
見慣れぬものが、正面の棚に腰かけていて、じっとこちらを見つめている。
なんだっけ、と記憶を呼び起こせば、昨日、クレーンゲームで取ってきたぬいぐるみであることを思い出す。プライズらしく軽くうつむき、じっとしている。
だが、こんな色だったろうか?
黒。いや、灰? 例えるならそんな熊。でも取ったのはドリームベァっていう、もっと淡いやつだったろう。
じっと目を凝らしていると、ぬいぐるみがぴくりと痙攣して、ゆっくりと片腕を持ち上げた。びびるとか以前に、ゆっくりすぎて、それが手を挙げた、という事実を認識するのに二分はかかる。
動いてるよな。動いてる。ゆっっっくりと。アリの方が早いんじゃないか?
「起きたか、ヨリシロ」
まるで猫が頭の毛繕いでもするようなポーズになったところで、ぬいぐるみは、そう口にした。
◆◆◆◆
霊といえばポルターガイストだよね! コンビにするならギャップを使え!
ということでどこまで続くかは分かりませんが、ここらへんは王道な感じでいかがでしょう?
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