[短編(オリ)]異種族の食事

 今日の食事が運ばれてきて、それを食べることにする。いずれも味気のない、例えるのならば粘土というべきだろう。だがここは戦場である以上、これで済ませるほかない。

 そう思って、何回目だろうか。

 幸い、荷物を預けられる部隊も加わって、炊事もしてくれることもあるが、今回は材料がなかった。遠くで荷物整理をしている彼らの手を煩わせることなく、隣や正面のやつらはもそもそ、とは食ってはいなかった。

 カガチ、蛇のケモノは義手で携帯食料を手頃な大きさにちぎり、口内に投げ入れる。咀嚼するための歯がないためだろう。そのまま喉を動かして、ごくんと飲み込んだ。

 他方、ベニリア、鳥のケモノは包装紙を両翼でしっかりと挟み込み、嘴で啄んでは、紙を破く、を繰り返していた。スープが出されたとき、喉に直接流してしまって悶えていたこともあったか。

 残りのシール、狐のケモノは奥歯で食料を少しだけ噛みきっては、数回咀嚼してから飲み込む。舌を器用に使って、食べこぼさぬように。

「アクロ、手が止まっとるぞ」

 無機質な視線からかけられる言葉に、適当な返事をして食事を再開する。

 よくよく考えてみれば、ケモノたちと食事をするのは初めてか。もとは人間だったはずなのに、ずいぶんと変わるもんなんだな。

 ある程度の包装紙を破って、塊を齧る。


◆◆◆◆


 人間ではないならではの食事。なら、元人間はどんなふうに食事をするのか? 気になりますね。


 食器を使おうとするのか、不器用な手でスプーンを使えるのか、毛皮についてしまわぬよう気を使うのか……。いずれにしてもおいしいですね。

 しかしそもそもの食べ方が人間と大きく異なる場合はどんなふうに食べるのでしょうか? 考えた結果が先述の通りです。

 蛇の獣人ならちぎってむしゃ。咀嚼はしないので、そうならざるを得ないかと。

 鳥だと足を使うわけにもいかないので、手で押さえつけて啄むことになるのではないでしょうか?

 犬とかだと、比較的人間に近くなりそうですよね。ただ少しばかりワイルドになるだけで。


 元来の生態通りだとどうにもイメージが悪くなってしまいますので、それを妥協するとこうなりますね。なかなかたのしい。

 なおヒューマノイドであるアクロ君たちは、まだ人形を保っているので、食事に差はないかな、という印象。ただ、身に付けているパーツの充電は必要でしょうけれどね。

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