[短編(オリ)]財は箱よりいずるもの!
トレジャーダンジョンに行ったことがないだって? そんな君に朗報だ!
ただいま5回の入場チケットがなんと! たったの100ガランだ! これが一万に化けるか、0になるか、それは全て君次第!
損をしたくない君も、もしこの5回で損をしてしまった場合は全額返金中! さぁ、財産を賭けて、レッツトライ!
という謳い文句の張り紙があちこちにある。これに挑戦するか、と訪ねられれば、俺は、しばらくはいいや、と答えるだろう。
危険だから? ほとんど儲からないから? それとも安全すぎるから? 稼いだから? 答えは後者ふたつ。ただ迷路を抜けて箱から金品を得るだけの単純なゲームだ。
しかしその金品というのが、また一癖ある。単純な金銀財宝ではないのだ。しかもそれは主催者が設置するものではないというのだから、必ずしも儲かるとは限らない。
例えば古くさい容器が手にはいる。なんだこれはと怒る参加者もそりゃ出るわけで、それを買い取って鑑定してもらえばある程度の価値がついたりする。あるときは買い取った額の数十倍だ。
例えばただのガラスの破片のようなものが景品になる。もちろんきらびやかだが、鑑定してもただのガラスだ。それこそ酒瓶を割って砂利と混ぜた方が簡単に手にはいるもの。ゴミだと捨てればそこまでだが、光り物が好きな種族に持っていけば、宿代にはなる。
例えば名工らしい武器があることも。すると経緯は下らないが、傭兵になると言い出して、命を危険に晒したりすることも。
それでも富を生むには変わらない。だから夢見てそこに足を運ぶ者はいる。
でも賢いやり方としては、優勝者を誰か見抜き、交渉を持ちかける。そして彼らに金を提供する代わりに、自分のつてを利用して生活をする。まだ一部にしか共有されていない知識だが、これが広まれば窃盗略奪はひどいものになるだろう。
それにしても、なんでそんなものを景品にできるのだろう? ただのゴミである場合もあるのだから、適当に選んでいるのだろうか?
だからか張り紙には、景品の価値は保証いたしかねますので、ご了承ください、と小さく書いてあるのだ。
◆◆◆◆
宝箱から取り出したものを譲ったり買ってり、あれこれするってゲームは面白いのかなぁ、と。
単純なものですが、予想もたやすく、キャラを増やすことができればそれなりのものになりそうですね。
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