[短編(オリ)]Pワールド/C
酒場の一角で、緑の甲殻に覆われたワイバーンが、一人の男に詰め寄っていた。
「肉のカードちょうだい!」
太い脚で床をミシミシといわせながら、男は土色の鱗を身にまとう、竜人だ。彼は大きなグラスを傾けながら、グリグリと首筋に鼻先を寄せてくるワイバーンを無視している。
余ってるでしょー、と牙を剥き、あまがみをしかける方向に切り替わるが、淡々とドリンクを味わう青年は空いている手を持ち上げ、ぐりぐりとワイバーンの眉間をなで回し始めた。
やがて手も口も離し、なおもアピールを続ける彼女を横目にグラスをテーブルに置く。
「おまえなぁ……配給カード朝から全部使ったくせにまだ食い足りないのか」
健康的な食事を等しく口にすることができよう作られた配給カード。その名の通り、毎朝配られる。一種の管理社会。
だってぇ、と尻尾を揺らすワイバーンの彼女は不満げだ。ため息と共に青年が立ち上がれば、脇を通って歩きだす。
「じゃあ、一仕事するか。ちょうど、何件かきてるみたいだしな」
取り出した住民端末にカードを差し込み、操作する。報酬の欄を睨んでいたが、食料カードと表示されると、行くぞ、と外へと向かう。まってよ、と追いかけるワイバーンの爪痕だけが、床に残された。
◆◆◆◆
Q.二人は誰でしょう?
一時期考えていた「支給されるカードで生活する社会のRPG」に彼らも登場させようか考えていたんですよねぇ。システムは某召喚アプリで悪魔喚ぶSRPGっぽいものを考えていました。
毎朝、その日限りのカードが支給されるので、そのカードを使って毎日を過ごす。支給されるカードの用途は決まっているが、誰かと交換したり、あげることもできるし、クエストをこなすことで無期限カードを手に入れられるとか。
懐かしい。何年前の妄想だっけ。
で、本題。パラレルワールドでの同名同キャラの振る舞いってよく考えてしまう、なんてことはありませんか? 外見や性格などは踏襲するものの、記憶とかはその世界に合わせたものにして。
外伝や異説とは違った、ちょっとしたお話。
こういうのをパッと出力できればいいんだけどな。あいにくゲームにしようにも時間も労力もかかるし、時間は有限だし。
もっと制作に充てたいなー。それこそ、素材は誰かに依頼してしまうのも手なんですけどねぇ。
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