[短編(色々)]今日の彼らのご飯時

 あんたさ、いい加減スープ飲んでよ。おいしいのに。

 君もしつこいなぁ。僕は嫌いなの。ガリガリしてるのがまずい。

 今回はそんなこと、ないから。騙されたと思って飲んでみてよ。美味しいのよ? スープ。

 むぅ……

 どう?

 スープそのものは美味しい、かもだけど、やっぱ苦手だ。まずくは、ないけど。歯応えがなくちゃ

 ……わがままねぇ。あんたの親御さんも肉ばっか食べてたのかしら。


 今日は何を食べるんだい。え、保存食かい? 貧乏だねぇ。

 仕方ないでしょ。定期的に交換しないといけないし、かといって捨てるのはもったいないし。

 あー、やだやだ。そんなもん使用人に食わせときゃいいんだよ。うまいもん食わなきゃ仕事なんてやってらんないだろ?

 そんな使用人もいないってこと、分かって言ってる? それにうちも、特別裕福じゃないんだから。

 あーあ、あーあ、んなもん食ってらんないよ。あたしゃ、ちょっと食ってくるから、おとなしくしてるんだよ。

 ああ、うん。今日、仕事だから早く帰ってきてよね。

 さぁてね。餓鬼がどんだけいるもんか。


 なんでまたそんなもん買ったんだよ。

 そりゃ、まだうちになかったからさ。それに新しい家電って気になるだろ?

 まぁ、たしかに。

 家で焼肉ができるなんて楽しそうじゃないか。折角帰れるんだから、家族サービスもしないとね。

 だからってそんな高い肉買わなくてよかっただろ。どんだけ給料入ったか知らねぇけど。

 いいんだよ。たまにはこれくらいの贅沢しなきゃ、医者なんてやってらんないし。

 結局はおまえの都合じゃねぇか。

 それは失礼だね。家族も巻き込んでるのに。


 ねぇねぇ、玉座の食堂に行ってみたい。

 また唐突だな。

 だってさぁ、ギルっていつも同じもの食べてるじゃん。中でも外でもさぁ。飽きちゃった。

 確かにそうだが、傭兵のときからの癖なんだよ。食べれればいいってのが染み付いてる。

 だからぁ、違うもの食べよって言ってるの。トレムが食べてるのを食べてみようよ。

 またあいつは面倒事を吹き込んでくれたな……俺たちでも入れるのか?

 たぶんね。

 おいおい。あっちに行ってから、何食うか決めてもいいかもな。

 そうそう!

 じゃ、行くか。未知の食べ物を探しにな。


◆◆◆◆


 なんでもない食事。

 特別な食事。

 微笑ましいですねぇ。

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