[創作論]秘めし力、顕現せよ

 その瞬間、目の色が変わった。比喩でもなんでもなく、黒かった瞳が青と黄色を落とし、赤くなったのだ。

 火を思わせる煌々とした緋色。

 かと思えば赤い軌跡、いや、残像を残しながら突撃する。敵群の眼前に舞い出でて、繰り返し凪ぎ払う。次々に積み上がる残骸は、緋の主に蹂躙され、みるみるうちに原型を失っていく。

 何がどうなっている?

 この場にいる、理性残る者たちは、全員考えた。先ほどまで決意を目に宿し、ここから先には行かせないと涙を浮かべながら息巻いていた者はどこに行った。

 迫りくる障壁は、瞬く間に崩れ去った。次に狩人の標的となったのは、操り人形の上演者、数メートル先で息を飲んでいる者だった。


◆◆◆◆


 覚★醒★変★身 焼肉定食!!

 ごめんなさい。言ってみたかっただけです。


 窮地に陥ったり、覚悟を決めた直後、主人公が急に強くなったりしますよね。これを覚醒などと言ったりしますが、これがまた、どうして中二心をくすぐるものなのでしょうか?

 考えられるのは「秘めたる力ってかっこいい」とか、「急に敵を無双するギャップ」による興奮だと考えられます。というか少年漫画にもよくあることだと考えると、単純に人間の本能的なものなのかもしれませんね?

 で、これを物語に織り込むとき、どうすれぱ不自然さを押さえることができるのでしょうか? というか、無双ものって始めからこの状態なんですよね。ゴッドオブパワーによって力を授けられ(覚醒し)てあれやこれやするといった感じに。不自然と幸運に挟まれてる感じ……。

 でも不自然さを押さえようとすると、結局王道になるんですよね。修行して、扱えるようになって、そこからまた覚醒する、とか。

 もっと奇抜なルートないですかねぇ。それも、世界が広がりそうなの。

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