[日記]ハードバイト

 時折、食べたくなる。噛み応えのあるもの。

 例えば、スルメイカ。酒は飲めないが、あれがとても満足いくものだということが分かる。特に、一匹まるまるのものが私は好きだ。

 ゲソを噛み締めながら、塩の味を感じながら、唾液でふやけていく、あの感覚。ゲソとは違った味わいの身を裂いて、しゃぶる。幼少期には、ことあるごとにそれがないかと菓子庫を漁ったか。


 あるいは、歯応えのあるパン。フランスパンである必要はないが、大きく口を開いて、表面をパリッと破く。すると中の生地の香りが鼻腔へと突き抜け、どうにか噛みちぎるのだ。

 そしてもちもちと幸福のひとときを味わいながら、折を見てコーヒーを。苦味と甘味が混ざりあい、なんとも言えない時間が訪れる……。そして、次の一口へ。


 肉とかは……固いものはあまり好みではないかもしれない。おそらく、筋に当たったときのあの音が苦手なのだろうと推測する。

 スルメイカ、買っていない。というよりかは、好みのタイプのが見当たらない、というのもあるだろう。あとお酒コーナーなんて見ないから、というのも。

 ハードなパンを口にしながら、朝食の延長戦を終えた。

 

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