[短編(オリ)]ConnectMyLife1

 目を覚ませば、なにも変わらない、変化してしまった日常がまたやってくる。夢じゃない、か。と分かりきっている事実と、二の腕につけたブレスレットを見比べて、起き上がる。

 何が起こったのかは分からない。ただ、ある日突然、私は人間の姿を捨てることとなったのだ。

 では、私は何で、何者なのか。

 鏡やガラスがないので分からないが、少なくとも人ではない、ことだけは分かっている。おそらく、獣と呼んでいたものたち。二対の前足と後ろ足で身体を支える、もふもふとした毛皮と、尻尾。ふと気がつくとふってしまっているから不安しかない。

 そして、この姿を認識する頃には、不自由こそないものの、空の水槽のようなところに閉じ込められてしまってる。

 どうなってしまうのだろう。愛用していたブレスレットだけが、私が私である記憶を繋ぎ止めている。

 どこからか降ってくる、人間ならば食えもしなかっただろう、固形のじゃらじゃらとしたもの。絶え間なく供給されている清潔な水。生きることはできるものの、うずく身体。動きたいと、暴れたいと溢れてくる衝動。

 その度に視界に入る、光るもの。もう色なんてものは分からないが、そこに彫られている陰影を思い出しては、衝動を抑え込む。

 何が起こっているのだろう。それを知る術は、ない。


◆◆◆◆


 先日、Twitterにて「後天的人外が理性を繋ぎ止めているもの」についてのリプライをしたもので……その一つ、「アクセサリ」をネタにしました。

 前腕が細くなってしまったので、関節より上側につけたところがミソです。


 理性という曖昧なものでこそあるものの、それをどうやって維持するのか? そしてその葛藤は? 是非ともグダグダと描写したいところですね。

 さて、アクセサリといえば、いっぱいありますよね。指輪、ネックレス、服飾とか……ファッション雑誌でも見れば候補はいくらでも出てきそうですね。

 そしてこれの存在による記憶の奔流によりハッとする。さっきまで思うままにやっていたことを手放し、後ずさる。呆然としながら脱力する。

 ……堪りませんね。必死に抗うその光景、美しい。


 それにしても、こういうときの視点は女性っぽい場合が多いですね? どうしてなんでしょうか? ここ最近、女性主人公が多いのも関係しているのでしょうか?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る