[創作論]Gロール

 その声は軍を沸かせた。

 拡声器も使っていないというのに、重く響く、奮起させるための激励。これから戦場へ赴き、守るために、勝つために敵を潰しにいくのだ。

 しかし、この声の主が女性である、という噂は本当なのだろうか。震える低い声に、ボディラインの見えない服装、いや、服装はどうにでもなるか。厚着すればいいし。

 あるいは、この声は口パクで、この激励そのものが、別の男の声なのかもしれない。そう考えると、おそらく彼女も芸達者なものだ。

 さて、この噂話、根も葉もないか、と言われればそうでもない。

 この組織に所属する者たちは寮に住むのだが、この人を見かけたことは一度もない。友に聞いても皆、同じ反応だ。

 一方で、女性寮に男1人でいるはずがないのだ。配偶者がいるとも聞いたことがないし、ほぼ確定だろう。しかし、この噂、どうしてここまで囁かれるのだろうか。

 この野太い声にも関わらず、実は彼女であった。ただそれだけで終わりなのではないだろうか? あるいは、新人への雑談のネタとして広まっているだけなのだろうか。


◆◆◆◆


 ジェンダーロール。最近は嫌われている単語ですね。


 ジェンダーロールというのは、生物にはつきまとうものですが、あなたの書く物語にこういった文化はあるでしょうか?

 性別問わず誰もが機会に恵まれ、職業というマジックワードで何にでもなれる、という世界観だと存在しないんでしょうね。少なくとも、村、町という閉鎖的組織が発生する場合、ジェンダーロールは発生することでしょう。

 あるいは、人類という矮小な生物を、性別関係なく、等しく扱う絶対的な神様がいるときも形成されないことでしょうね。だってそんなことしたら誅されるんですからね?

 現代社会では嫌われるものですが、主人公たちの訪れた村町に生きる文化や価値観を示すのにも、効果的なものでしょう。それは昔の魔物とかによって作られたものであって、封印されているとか、生け贄の必要な守り神である、とか、色々な属性をつけることも可能です。

 創作には、時にはこういうのも入れた方が展開のネタを広げるのにも役立ちます。もっと欲しいですね、こういうの。


 市場では、人の出入りは自由ですし、(宗教を除いて)神様なんていません。なので、一応ない、ということにしておいてください。考えていない事実を無視してくださいお願いします。

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