[短編(オリ)]エネルギーコア
動力源を得たマシンは動きだした。
装甲についた埃を巻き上げ、ギシギシと唸る関節に命令を送り、苔など関係ないと言わんばかりに立ち上がる。
自立式人型兵器、と過去の文献にはあるが、ちゃんと動くのだろうか。それを確認するために、貴重なエネルギーコアを使っているのだが。
この動力源の技術が失われて久しい。半永久機関として開発されたコアの復元を試みてはいるが、いずれも夢物語に終わってしまっている。しかし現にこれは存在して、この兵器を動かしているのだ。
エネルギーコアを使った文明があった、ということの期待が確信へと変わる。
兵器は、人で言えば目に当たる部分をしきりに点滅させて私の方を見ている。さぁ、これはどんなことに使われたのだろう。
丸が二つ灯った。瞬きするように横線と交互に点滅。
「本日はお越しくださり、まことにありがとうございます。お客様にお願い致します」
腕を動かしながら演説しているかのようだ。接客型か?
「通路で走られたり、お煙草を吸われたりすると、周囲のお客様にご迷惑となりますので、ご遠慮ください」
なるほど、ショップモールにでも置かれていたか。
ふと、何者かが走ってくる足音が背後から聞こえてきた。振り替えると部下の一人が目を輝かせていた。そして兵器へと足早に近づく。
「通路で走られると、周囲のお客様にご迷惑となりますので、ご遠慮ください」
急に早口になった兵器はバシュンと音を鳴らしたかと思うと、その腕は部下の身動きを奪っていた。
◆◆◆◆
このあと、ドウナッタノカナー。想像にお任せします。
永久機関の動力源、ロマンがありますよねぇ。しかし現実的には無理なので、今回はこのオーパーツについて。
登場したとき、持ち主はどうやってこれを入手したんでしょうか? エネルギー源として利用できることが判明した瞬間から戦争が起きますよね。魔剣の呪いかのように。
もちろんそのような使い方ができる技術、あるいは使えるものがないと宝の持ち腐れとなるでしょうが、持っていて間違いなく損はしないもの。他国にエネルギーだけでも売り付けることができれば、あとは設備費だけでぼろもうけ。
エネルギーの本体費も下がるには下がるでしょうが、設備需要が膨らみ、ぼったくりが出てくる可能性もありますね。
そう考えると「エネルギーが安定して供給されている」ファンタジーを考えたとき、「どこからそのエネルギーを捻出しているか」を考えてみると、ネタがまた膨らむことでしょう。
そして、このエネルギー源が倫理的禁忌を犯しているとか、星から得られるエネルギーを独占しているとか、色々組み合わせるだけで世界観と黒幕まで作れてしまいます。お得パッケージですよ、エネルギーコアというのは。
ついでに、このエネルギーの活用先に、軍用兵器、生活用品。誰が儲けられるかと言えば、独占している者、生活している者、主人公たちの家族。もう長編の一つでも作れますよね、これ。
しかし、ハイテクファンタジーを考えられない私はこうしてネタを投下するのでした。
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