[短編(オリ)・創作論]侵食する夢

一日の活動を終えて、寝床につく。じぃと天井を見つめ、眠気の勝利と体の敗北を待つ。

いや、目を閉じるべきか。深く息を吸って、ゆっくりと吐く。体から力を抜いて、意識を浮かべるのだ。


すると、夢を見る。

横になっていた体は立っていて、目の前には見たことない何かがいて。いや、正確には数度、目にしている。現実で見たことないものがいる。

私の記憶が作り出しているのだろう何か。化物と呼ぶにふさわしい大きさの、ずんぐりむっくりは小さな目で私の方を見ている気がする。

見惚れているわけではないが、釘付けだ。というよりも体が動かない。

化け物は日に日に、近づいてくる。目を凝らせば毛の一本一本が何色をしているかくらい答えれるほど、近い。

逃げることもできない私に、化け物は笑いかけた。

だから私も、笑みを返してみた。


目が覚めると、どうにも体が重かった。動き始めると血の巡りが良くなってくるものだが、今日はそうではないらしい。

今日は休もう。んで、寝よう。


◆◆◆◆


自身を蝕む何かを見る夢、でした。


一種の予感なんでしょうけれど、自身が自身でなくなっていく恐怖を、なんとなく示すにはいい方法かも。

私としては、取り憑いてきた何かに意思を渡してしまわぬよう戦いを繰り広げてほしいなーとか思うところですが、今回の主人公にはそんな敵意はないようです。


「気が付かないうちに忍び寄る者」って恐ろしいですね。当たり前を一瞬で崩してしまう。

もしかすると、今日出会う人も、幽霊か何かに意識を乗っ取られ、誰かを演じているのかも?

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