[短編(七日)]あぁ、もうこんな時間かぃ?

そう明るく口にするのは一羽の猛禽。

道路と歩道を隔てる柵の上で、隣にいる女性を視界に入れながら。

「うるさいな。見つかったらどうしてくれんの。ていうか帰ってよ」

まだ人がいなくなるには早すぎる時間だというのに、黄昏時には車どころか、人っ子一人いない。

不気味に静まり返っている中に、彼女たちはいる。

「日向、一人でできるってことを証明するには、二人以上いないといけないんだ。簡単な話だろ?」

なにそれ、と彼女は身の丈はあるT字の棒をくるくると回している。長い影法師が綺麗な軌跡を真似している。

「あんたはまだ、独りでてきるとは思われてないってことだよ。あんたの監督するより、協力したほうがいいと思うけどねぇ」

うるさいって。カンと歩道に敷き詰められたレンガに棒の先端が叩きつけられた。

「いいから、好きにさせて。一人でできるから。どうせ餓鬼が群れなしてるだけでしょ」

すると、日向は歩き始めた。誰もいない道を振り向かずにひたすら進んでいく。

「……誰に似たんだろうねぇ」

猛禽の翼が開くと、シルエットが数倍にも膨れ上がる。バサリと飛び立った彼女はビルの上へと飛び去る。

しんと静まり返る世界に、やってくるものはいない。


◆◆◆◆


ゲームやっとったらこんな時間だよ!!!

なんか書こうと思っていたんですが忘れたので、日向と万芽のお話でした。

反抗期の娘的な子に手を焼きながら監視する異形…いいと思います!!

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