[短編(オリ)]望みと信頼と
彼女はすぅすぅと、ベッドの中で眠っている。自分はその一方で、寝付けずに天井を見つめていた。能天気なのも羨ましい。
今日、夕暮れ時にこの町にたどり着いた。明日以降は数日間、自由行動にしようと提案したのは自分だった。
すると彼女は、
「いいの? 大都市に早く行きたがってたじゃん」
と目を丸くした。緑の目立つローブを揺らしながら。少し休憩したいんだ、と答えると、やった、と大きく尻尾を振った。
そこから、時折聞こえる鼻歌の後ろで自分は考えていた。
一瞬ですべてを奪った彼女に、どうして安心を覚えるのだろう?
こうして徒歩で旅を始めてから、すでに十日は経過している。彼女の魔法について何か情報が欲しいと、大都市へと向かっている。もちろんその道中は平坦なものではなく、障害が現れる。
その度に、シールと名乗る獣人は笑いながら、迷わず自分を助けてくれたのだ。
野盗に会えば魔法を使わずにねじ伏せる。雨の中崖の道を進み、足を滑らせれば瞬時に手を引いてくれる。
強くて、優しいのでは、と思ってしまう。いつもにこにことしながら、明るく声をかけて、助けてくれる。
だが、自分以外を封じた、その時の彼女は、恐ろしかった。遠くから見えていただけだが。
それは、魔法を使わないで、とお願いしたから、結果としてそうなっているのか。
使ってもいい、と言った瞬間…まぶたの裏にちらつく影に、ありえない、と頭を一つ振る。幸いにも消えてくれた。
彼女から皆を助けるには、まだまだ時間がかかりそうだ。
アクロ。騙されてはいけない。
◆◆◆◆
つい最近、作成中のゲームにて登場する予定の新規キャラクター、シール。と、その相方、アクロ視点のお話。
市場とはまた異なる世界でのお話にしたいわけですが、こんなことしてたら他が完結できない…!ので、この二人の物語は一旦ここに記しておきましょう。
キャラクターを作ったら掘り下げたくなるのは、描く者はの性でしょうかね…
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