ギャンブルで勝つ方法
ミトイルテッド
第1話 ギャンブルの仕組み(その1)
日本にもカジノができるそうですね。
僕はアメリカに住んでいますが、自宅から三十分の距離に立派なカジノがあります。頻度は減りましたが、今でもたまに博打を打ちに行きます。日本にも身近な場所にギャンブルが溢れているはずです。代表的なものとしては、宝くじ、パチンコ、競馬あたりでしょうか。ギャンブルを毛嫌いする人も多いのではないでしょうか。お金を失って家族や友人にまで迷惑をかける人が後を絶ちません。お金を増やす人はほんの一握りで、圧倒的多数はお金を失う、それがギャンブルです。
では、なぜギャンブルはなくならないのか?
これには二つの側面があります。
第一に、ギャンブルは胴元(主催者)にとって笑いが止まらないほど儲かるから。仕組みさえ作ってしまえば、いとも簡単に莫大な利益をもたらします。競馬、競輪、競艇、オートレースは日本の公営ギャンブルですが、いわば国が公に認めている賭博場です。これらは地方自治体の大きな資金源にもなっています。
では、パチンコはどうでしょうか。本来、民間の賭博行為は法律によって禁じられています。パチンコがギャンブルではない、という人はきっといないでしょう。なぜパチンコが許されるのか。それはパチンコは法律的には賭博行為に該当しないとされているからです。パチンコは出玉と引き換えに薄っぺらい金のプレートみたいな景品と交換することができ、これをパチンコ屋の近所にある買取所に持っていくと現金で買い取ってくれます。パチンコプレーヤーはこのようにして出玉を現金化します。
パチンコの出玉は直接お金に交換することができません。パチンコ屋はあくまで景品と交換しているだけ。そして買取所は古物商の認可を受けており、建前上はパチンコ屋とは直接関係がないことになっています。これを「三点方式」というのですが、これが合法であることの根拠とされています。はっきり言ってグレーもグレー。パチンコ屋の近くにたまたま古物商があって、偶然にも訳の分からないチンケな景品を高値で買い取ってくれた、というストーリーが根拠なのです。ちなみに、東京ではTUC(東京ユニオンサーキュレーション)という古物商組合が景品の買い取りをしています。街なかでTUCの黄色い看板があれば、そこはパチンコ景品専門の買取所。そこに列をなしているのはパチンカー達です。ちなみに買い取られたパチンコ景品は、流れ流れて結局はパチンコ屋へと戻っていく仕組みになっています。
テレビや新聞がパチンコの問題を積極的に取り上げないのはなぜでしょう。理由は簡単です。パチンコ業界はマスコミにとって多額の広告料を払う大事なお客様だから。政治家にも献金を受けている者もいますし、警察のパチンコ業界への天下りや癒着も誰もが知るところです。パチンコはそれほどまでに根深い問題を抱えているのです。
余談ですが2014年にこんなことがありました。自民党議員と警察庁との会合の席で、議員がパチンコの換金行為の問題点を指摘したところ、警察庁の担当官はこう答えました。
「パチンコで換金行為が行われているなど、全く存じ上げないことでして……」
がっくりときそうな馬鹿げた答弁ですが、パチンコの闇を如実に表しているエピソードと言えるでしょう。
では次に、プレーヤー(遊戯者)側の視点に立って考えてみます。
なぜ人はギャンブルをするのか?
それは楽しいからです。ギャンブルは人類の歴史、その古くから連綿と続く文化の一つ、発明でもあります。実際に手持ちのお金を賭けて、身を削るような、ひりつくような思いをして勝負する。日常生活では味わえないスリルがお手軽に味わえます。勝負に勝てば脳内麻薬がどばーっと分泌され、なんとも言えぬ多幸感が得られます。そしてこれは依存症への入口でもあります。ギャンブル依存症は医学的にも正式に精神疾患の一つとして認定されており、個人の力で完治させるのは至難の業。これもギャンブルが抱える大きな問題の一つですね。
では、ギャンブルをする人を3つのタイプに分類してみましょう。
暇つぶしとしてたまにギャンブルを行うライトプレーヤー。ギャンブルがもはや生活の一部と化しているヘヴィプレーヤー。最後はプロです。プロはギャンブルで得た稼ぎを生活の糧にしている者を指します。
全てのプレーヤーはライトプレーヤーから始まります。そこでやめる者もいれば、ヘヴィプレーヤーへと移行する者もいるでしょう。ヘヴィプレーヤーでも勝っている人はいるでしょうが、極めて少数なはずです。勝っている人と負けている人、この違いはなんなのでしょうか。
ポイントはここです。
全ての勝っている人は、ギャンブルの仕組み(どのようにして胴元が儲けているか)を知っています。これを知った上で、負けないように立ち回ります。一方、仕組みを知っていても勝てない人、または仕組み自体を知らない人がいて、これが大多数を占めます。仕組みを知った上で、生活に支障をきたすほど負けているという人はおしなべて依存症であると言えるでしょう。まずは仕組みを知らないと話にならないのですが、知っていても負けるのがギャンブルだというのも覚えておいて下さい。それから、プロになったとしても大儲けしているのはその中でも更に一握りであるという点も重要です。
基本的に胴元はプレーヤーが馬鹿である、ということを前提にお金を稼いでいます。あとから詳しく説明しますが、残念ながらこれは事実。短期的に見れば勝つこともあるのがギャンブル。誰もが大勝の幻想を夢見て賭場へ足を運びます。しかし、実際にはほとんどのプレーヤーがお金を失っている訳ですし、そんな馬鹿たちのおかげで莫大な利益を上げているのが胴元なのです。
それではギャンブルの仕組み(どのようにして胴元が儲けているか)を解説していきます。ジャンルによって異なりますが、基本は同じで超簡単です。
最も儲からないギャンブルはなにか知っていますか?
言い換えれば絶対にやってはならないギャンブル。それは宝くじです。宝くじはくじ購入者からのお金を集めてその一部を還元することで成り立っています。一等3億円とか大きな当選金で煽ってきますが騙されてはいけません。宝くじの胴元は集めたお金の45%程度しか還元しません。仮にくじの販売で100億円集まったとすれば、45億円を当選金として払い戻し、残りの55億円が胴元の利益として残ります。くじの販売に係る広告宣伝費や人件費などのコストを差っ引いても、とんでもない利益率の極めて美味しい商売なのです。
「還元」という言葉が出てきました。重要な言葉なので覚えてください。胴元が集めたお金の45%を払い戻す。これを「還元率は45%である」と言います。一万円払って4,500円返ってくるのも「還元率は45%」で同じです。一万円払って8,000円返ってくる場合は「還元率は80%」となります。
還元率は「期待値」という言葉に言い換えることができます。ギャンブルの世界では期待値という言葉が一般的なので、以降は期待値と書きます。繰り返しになりますが、「宝くじの期待値は45%」なのです。
期待値についてもう少し詳しく考えてみましょう。
期待値100%とはどういう状態でしょうか? 簡単ですよね。一万円払って一万円返ってくることを指すので、利益も損も出ない状態です。つまり損益分岐点は100%が基準になります。これが101%だと儲かるし、99%だと損をするのです。宝くじの期待値が45%であることは知らずとも、100%を下回るであろうことはほとんどの人が感覚的に知っているはずです。
それなのに、なぜ人は宝くじを買うのでしょうか?
それは一等の3億円が欲しいからです。3億円は大金です。300円のペラペラの紙切れ一枚が大金に化ける可能性を秘めている。そこに夢やロマンを感じるからこそ宝くじを買うのです。
では、仮にあなたが100億円持っていたとしたらどうでしょう?
100億円持っていれば、全てのくじを買い占めることができます。買占めてしまえば、必ず一等の3億円が当たります。どうしますか?
買う訳ないですよね。宝くじの期待値は45%ですから、100億円全てを使ってくじを買い占めると、45億円が当選金として返ってきて、55億円が消えてなくなります。くじを買う前から結果が確定している訳ですし、そもそもこれはギャンブルとは言えないでしょう。
そして実はこの話にはもう一つ重要なポイントが隠されています。
そもそも100億円を持っている人が、3億円欲しさに宝くじを買うでしょうか?
きっと買わないと思います。なぜなら、その人にとって3億円は大金ではないから。3億円が大金だと思う人だけが宝くじを買うのです。個人的な意見ですが、僕は経済の仕組みもこれに近いところがあると思っています。知らず知らずのうちに損をするのは、いつだって3億円を大金だと感じる庶民なのです。
ちなみに2018年の年末ジャンボ宝くじの一等当選金額は7億円で、当選確率は2000万分の1だそうです。これは限りなくゼロに近い数字ですが、僕は仮にこの確率が5000万分の1であろうと1億分の1であろうと、人々はくじを買っていたのではないかと思います。
数字というのは、天文学的になればなるほど人間にはイメージがつかなくなるという性質を持っています。人間の手の指は左右合わせて10本しかありません。せいぜい人が感覚的に認知できる数字の限界は10くらいまでのもの。2000万分の1と1億分の1の確率の違いを人は認知することができないのです。
ギャンブルというのは、このような数字の特性を巧みに利用してプレイヤーの目を曇らせるようにできています。突き詰めれば、期待値が100%を超える時だけお金を賭ければ負けることはないのですが、それが難しいのです。ただし、難しく考えすぎる必要もありません。宝くじの期待値は45%と初めからわかっているのですから。損をしたくない人はくじを買わなければいいだけです。
もしかしたら当たるかもしれない。そんな気持ちでつい買ってしまいがちな宝くじですが、これを読んでいる皆さんが一等を当てることは一生ないでしょう。断言できます。2000万分の1というのはそういう数字なのです。拙作のアクセス数が100万くらいなれば話は別ですが(笑)
ところで、ここまで書いてからいうのはなんですが、宝くじは本当に勝てないギャンブルなのでしょうか?
否。実は宝くじにも必勝法があります。いや、正確にいうとありましたですね。確率のレトリックを見事に打ち破り、狙い通りに宝くじを買って大金を手にした男も過去には存在します。そんな男が編み出した宝くじ必勝法も、のちに紹介していきたいと思います。
この「ギャンブルで勝つ方法」では、実際に身近なギャンブルに焦点を当てて、わかりやすく、かつ論理的にその必勝法を解説していきます。オカルトやインチキの類ではなく、数学的に実証可能な極めて正しい方法論を用いますので、読者の皆様におかれましては、今後も期待して楽しく読んで頂けたら作者冥利に尽きるというものです。
僕が解説していくのはプロなら誰もが知る当たり前の方法論です。先にも書きましたが、それを知っていても負けるのがギャンブル。必勝法を知ったからといって、絶対に勝てるとはなりませんのでご注意下さい。必勝法を知っているのにどうして負けるのか、といった点についてもしっかりと言及していきますので!
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