第9話 クエスト【街中のゾンビを討伐せよ】あっ……(察し

「名前の前に付いている†ってなんですか?」


お前ら質問ばっかりだな。

金とんぞ?情報はただじゃねーんだよ。と言いかけて初心者育成のために自分から話しかけたのを思い出した。


「ふふふ、それは選ばれしものの高貴なる印だ。わかるかね?この高潔さが」

それはちょっと突っ込まれたくないネタなんだよな……。

サービス始まった頃、また俺がイキリトだった頃、衝動的につけちゃったイタイ装飾なんだよなー。

プレイヤーには合わないものだから別にいっかなとか思ってたけど、指摘されると恥ずかしいわ。

てか知らねーのかよこいつ。

さとうあああああんなは、ゲーム禁止でもされてたのかな?

xXとか†とかそういう装飾よくいるじゃん。

それを知らないってどうなの?

もうやけくそだ!

高貴なる証なんだこれは。そう選ばれし紋章なのだ!(狂


「なるほど!そうなんですね!」

「ふむ、能力が………すると……うーん」


「ちょろすぎワロタ」


「え?」


「なんでもない」

つい口に出してしまった俺は悪くない。

いや馬鹿だろ。

選ばれし印!とか言ったら「は、ははは、そ、そうなんすね」って愛想笑いするのが普通だろ。馬鹿じゃね?


「馬鹿じゃねえか?そんな奴がいうこと信じるのかよ!?」


おお、イキリ野郎、なんかまともなこと言ってるし。

あーあ、無視するなんてひでー。

どういう関係なのか知らないけど、初対面の俺を信じるとかどうかしてんじゃない?

あー。

ここで嘘を教えたら面白そうだな。



ーーあ……。

それは、まるで天からの囁きのようだった。

そうだ……。


「実はな、最近街中で、モンスターを見るようになったんだ」


「へ?街中でですか?」


「そうなんだ、困ったことに奴らは人を襲わない」


「襲わないならよくないすか?」


「いやね、いくら今襲わないとは言っても突然牙を剥くかもしれないだろう。それから何故かそのモンスターに住民は気づいていないのだ」



「……?!」

おっ、ギガメッシ少年、今こう思いましたね?

ブックオ(嘘)……クエストっぽいじゃあん!ってね。

流石だろ?俺心を読めるこっころ君だからね。


「そこでだ、君たち2人には討伐を頼みたい。【都市に蔓延る闇の使徒 ゾンビを討伐せよ】成功報酬は賢者の杖と龍神の炎剣だ」


「やります!」

「なんかすごく強そう」

強くないんだなこれが。しかも希少価値も低い。アイテム無限増殖バグで今ストレージに×99個入ってるし()



「おい!俺にもよこせよ!!なぁ、!てめーらも無視してんじゃねー!!」


「うるさいからあっちに行ってよね」


「おい!あんな!ぁぁぁぁんな!おい!見捨てんのか!おい!なぁあぁ!!」


「さようなら」


ふぃいいぃぃぃ!!はい、振られましたねー、いやひっど、可愛そうだななぁ。

え?さようならって何よ。

めっちゃひでえ。

あんなあんなはあんなじゃない!ってイキリ野郎は思ってるだろうな。


「討伐時間は明日の昼までだ。明日の昼、中央広場の噴水前に来てくれ」


まあ、明日にはこの都市にいないんだがな。

俺はそれだけいうとイキリ野郎にだけ目配せをしてその場から離れた。

ギガメッシとあああああんなはやる気満々で街を走り出していった。




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る