第13話

私は迎え人のナナシです

今日は

寿命で亡くなったお爺さんを迎えに来ています

数人の男女が言い合いをしている

近くに立っているお爺さんに近付き

「迎え人です、貴方を迎えに来ました」

お爺さんはこちらをチラッと見ると

男女達に目線を戻して

「こいつらはワシの子供達なんだ」

「そうなんですか」

「あぁ、昔は仲の良かった兄妹だった筈だったんだが、今はワシの遺産をどれくらい貰うかで言い合っているんじゃよ」

お爺さんは苦笑いをしながら

「こいつらはワシが死んだことを悲しんでいない、逆に遺産が手に入ることに喜んでいるやつもいるくらいじゃからな」

「それは悲しいですね」

「あぁ、そうかもしれないの、だけど、死んだワシには何も出来ない、それじゃあ、行くかの?お嬢さん」

「いいんですか?」

「これ以上見ていても悲しくなるだけじゃからな」

お爺さんは歩き始めたので

私は後ろを付いていきます

後日談ですが

遺産を分けあった兄妹達は

直ぐに遺産を使ってしまい

借金漬けになってしまいました

私は迎えに行く


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