第2話

目を開ける。

真っ白で無機質な天井が見える。

視界に掛かる漆黒の髪を掻き上げて、息をつく。

身体を起こす。

ベット以外は何も無い殺風景な部屋。

立ち上がるとベットのスプリングがなる。

リビングへ向かう。

フックに掛けてある、シワ一つない制服を着る。

此処にも物は少なかった。

机と椅子、棚があるだけの部屋だ。

必要最低限のものは置いていない。

手櫛で髪を梳き、玄関のドアを開ける。


容姿も何も気にしない。

ただ、いつもと変わらない毎日を過ごしていくだけ。

鍵をかけて、全体を見る。

低いとも高いとも言えない、鉄筋コンクリートのビルの上。

古びた、ビルの外見とは正反対のプレハブ小屋。


そこに、霧矢 那津は住んでいた。

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