勇者パーティーの盗賊

ソロ

序章 おしまい

勇者の死ーー


王女と幼なじみの愛憎の果ての相討ちーー


そして、魔王は人類最後の希望である盗賊の目の前に居た。


盗賊は半ば諦めたような顔をしていたが、魔王は手を緩める事は無い。


持ち前の素早さで魔王の攻撃を紙一重で回避していく。


魔王が顔の横を通り抜けるーー


空気が震え、薄皮が弾け、肉が溢れ落ち、骨が砕け、片目が潰れた。


当たった訳でも無いのにこれだけの威力を生み出す魔王の攻撃。


それを何度も回避していくが、その威力の前に次第に動きの悪くなっていく盗賊。


「これで終わりだ……」


魔王の両腕が真っ赤に光り、巨大に膨張して見せた。


そのとき、様々な記憶がフラッシュバックしていき、盗賊はとある物に手が伸びていた。


本当は愛していた女のために用意していた伝説の蘇生のアイテム。


だが、その女が愛したのは勇者だった。


使うに使えず、今までポケットに忍ばせていたそれをーー


盗賊は最後の力で握りしめた。

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