ラチ男の災難 その3

災難その2で、その時の事件とは関係なく折れ曲がっていたナンバープレートを(工場の一方的な厚意で)こっそり直してもらったラチ男だったのだけど、実は、今またプレートが折れ曲がっている。


そして、それをやったのは夫のM夫くんだ。なのに、そのプレートを見た人は誰もが、犯人は私だろうと思っている(に違いない)ことを、私は常々おおいに不満に思っているのである。


そもそも、そのこっそり直してもらったプレートも、曲げてしまったのはやっぱりM夫くんだった。

どっかの駐車場で、予想外にせり出した小さな雪山があって、そこに押し付けてしまったらしい。


そうよ、そうなのよ。

私の運転の助手席に乗ると、最初のころのM夫くんは必要以上に厳しくて、私はちょっと危ない状況そのものよりも、M夫くんの方が怖いと思うくらいの時もあった。


だけど、彼もけっこうやっている。


まず、免許取りたてで高速道路を運転してて、スリップしてクルクルした挙げ句に脇の土手(?)に突っ込んだらしい。自損ということで済ませたらしいけど、通りすがりの車に「若いモンが無茶な運転するから!」と言われたとか言っていた。


結婚したばかりのころも、すごく暗い道で、前方で大型トラックが右折待ちをしてるのに気づかずに、直前で急ブレーキってことがあった。あの時は、私の方が先に気づいて「キャーーーーッ!!」って叫んだんだった。

まあ確かに、普通の目線よりもちょっと上のところにブレーキランプがついていて(?)、何となく気づきづらい感じではあったんだけど。


それから、高速道路でPAから合流した直後に、一瞬ドリンクか何かに気を取られたらしく、中央分離帯にちょっとあたって車がグラグラとしてビックリした!!ってこともあった。


高速道路ではほかにもある。

全然関係ない出口から出そうになって、直前でハンドルを戻したってことがあったよね。あの時は、唖然としたよ、M夫くん!!

「ボンヤリ道路の白線を見てたら、そっちに誘導されちゃった」って言ってたけど。


そして、今プレートが折れてるのは、またM夫くんのせいだ。

緑豊かな暗い田舎の道で普通に走っていたら、すごい衝撃とともに車が半ば何かに乗り上げそうになって止まった。驚いて下りてみたら、なんと、鹿の死骸が横たわっていたそうです。

「誰かが轢いて、そのまま放置して行ったらしい」とのこと。


かわいそうなラチ男、まったく災難だったね。


でも、それよりも、周囲からその濡れ衣を全部着せられている(に違いない)私の方が、実はもっとかわいそうなのです。


注意一瞬、不名誉一生、しかも濡れ衣、なわけで。。。


「夫がやりました」って張り紙しておきたいくらいなのです。

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