2020/07/16 22:34/鷦鷯飛蝗

彼は鼓動の余地を失って

はみ出した心臓から

不可解な飛沫を飛び散らせ

モノノ怪の国に遊んでいる

ちっとも赤くないのだ

あの国で見る夕焼けみたいに

具体が省かれていると言ってもいい

概念的に

分類されている時間が過ぎ去って

震える体の隅で実感していた

意味付けがすり替わってしまう

駆動系の徒さを宥めて

軋ませつつも腰を降ろしたら

二度と立ち上がれないと知っているから

零れ落ちる傍から振り返らず

歩を進めているのだと嘯いていた

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