2020/06/03 22:42/鷦鷯飛蝗

三枚におろされた命を湯引きするとき

閉じ込めきれなかったたましいのかけらたちが溶け出してくる

排水口に絡まり、集積したかけらたちは

互いに自分たちが主だという顔で

欠損を補い合うように癒合していく

洗剤に剥がされて

漱ぎ落とされても

下水の奥でまた

誰も思いつかなかったかたちをとって

うごめきはじめる

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう！

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。（ログインが必要です）

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録（無料）

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る