2020/03/02 18:14/鷦鷯飛蝗

数えたら

足りなくなっていた

ただ仄かな晩に

微睡んでいたあなたの

肩に触れたら

抱きしめたくなった


薄目を開けて

少し笑った気がした

触れられなくとも

伝わるぬくもりを

教えてみせて


言葉の要らない

部屋の奥から

瞳の裏から支えてみせて

持ち上げた梁を

覆う埃が騒いでは


流す風に

攫う果てに

もう零した思い出が

運び去られてく


一畳の庵

六面の隠れ家で

ぬくもりは世界が与えるもの

境の無いぼくたちが差し出すもの

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