2020/01/27 21:59/鷦鷯飛蝗

夢というのはちょうどこの夜の

街角のような

暗く静かな佇まいであって

荒く目障りなノイズが走ります

薄い灰色の

ブラウン管のような閉塞感で

空の無い

閉じた空間を描きだします

熱も無く

匂いも無く

手触りも無い

そんな夢しか無いはずでした

あれはずいぶん前のこと

温く拙い夢をみて

視野は今より狭かった


夢は時には三人称であって

古傷のような

恥じて確かな二の舞を繰り返します

ループする各シーンの思い出が

前後関係を失いつつ輪転するカノンであるなら

展開する先には確かに変化があって

私が物語れないのも

そうしたカノンが許されないから


去り際などありません

ただ消え去るのです

去ると言うのが見送れるということなら

夢は決して去りません

気付くともなく

そこに居ないのです

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