2020/01/22 23:55/鷦鷯飛蝗

大聖堂のステンドグラスは黄昏を隠して

無涯の伽藍は装飾に溺れる

空間を掘り返して、四軸方向

薄緑の液体が満ちる、仄明るい行間

ぷかぷか浮いて、四肢は溶融する

流されるままに落ち窪み、ひけらかすかんなぎ

いつしか真下へ澱み墜ちる流れに

水底のコンクリートへ背骨を打ちつける

ゴン……と響いたのは頭蓋骨の泣き言か

或いは錆び付いた鉄扉の凱旋か

突っ張っても爪先がつかない産みの底

昏いまま匂ってくる人の残り香

四軸ズレて、伽藍の密室

鍵を丁寧にかけましょう、ひとつ、ふたつ、みっつ

赫繻子の波たちが通路を限定して

純白のシーツをふかふかと照らし出す

埋もれていくに違いは無い夜空の漁火いさりび

吹き消した風は誰の口から漏らした吐息か

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