2020/01/04 22:39/鷦鷯飛蝗

ざらつく海の鉄肌が泣いて

巨人ひとりの雲塊を翳らせる

挟まれた空の間

中空に祈りを嗄らした

重低音はいつかのせせらぎ

プロペラの外端は虹色に香って

泣きださない今なら

見張った眼に捉えうる

煮凝った舟で渡りうる


不穏な軋みも骨に伝う駆動音

雪を忘れた拙い冬に

出来損ないの水墨画は乾いて腫れた

切り取らねばならないうそっぱちを

心地よくもないままに斯界から剥がすのは

石垣に残った上辺だけの冷え方を知っているから

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