2019/11/07 19:16/鷦鷯飛蝗

明滅する街灯の森を往く

導き手は老犬の哀哭

途絶を湛えてコンクリートが照り返す

青白い釉はなだらかに舞って

霧じみた無間、足音は耳元だけで鳴る

芯に凝らす冷気が緩んで、夜の溜息

犬は確かに一匹

あの向こうで啼いている

時折ぶら下がる誘蛾灯

気温不相応に集る蟲

終わらない旅を殺したい

そのための旅と

無限に刳り込まれる目的

あの犬の声が老いる

それだけが正気を保ってくれる

どうして靴は擦り切れない

青白く照らされ続けた

膚はどうなっただろう

顧みることができる私は幸せだ

この森もいつか枯れるだろう

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