2019/10/28 21:15/鷦鷯飛蝗

抉られない音を触る度

後ろめたさが歩調を過る

据えられない夜を越える度

後ろめたさが耳の後ろを撫でる

貯まり溜まって擦り切れた皮膚の下に

覗く弱さに血は通っていない

垂れ流しのを啜って

片端から間違いを列挙して見せろ


歪めないそこここを辿る度

頽れそうな夜闇に焦がれる

吹き飛ばない拗れに寄り添う度

剥がれ落ちない憾みに戸惑う

共に額づいて慕う君も無く

誘う旅さえもう遥かに枯れ果てた

揺り戻しのを駆って

たなごころから贄逃がして見せろ


逸れない途征きに名前など無くて

願えない施しなどこの空には無い

細やかな灰だとしても

誰のものとも知れずとも

名も知らぬ彼らのを嬲る鷺だけに任せては

冴えたくて、揺れたくて

正しさだけを誓うにはこの木々は茂りすぎている


ここに逝き着いて憩う友も亡く

赫い標さえ建てたとて

辿る月さえ割れ欠けた

刳り殺しの孔を裂いて

至っても気付かれぬ境地と板を張れ

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