2019/10/11 20:58/鷦鷯飛蝗

黒曜石の空を

敲いてみたけど無駄だった

蒸れた夜に狂う

重苦しい愛の渦がじきに来る

やがて届くその渦が

撒き散らすだろう涙を想う

重ねて過ぎゆかない想いを囲う


嵐の前の静けさと

求愛に耽る虫の泪を解く

木漏れる街灯が

白犬の残響を放って遥けくはしらせた哀悼と

ろうそくに照らされる玻璃の城


点々と足許をなぞる淡い

誘う切なさと墓前の悔恨に細る

生気のないこの躯だから宿る

清貧に保つともく詩に逝く我が身だから仰ぐ

黒々とに臥す影

青々と四肢を巻く翳

うなじの奥まで突き刺す頃には

血の節々と胤を繋ぐ



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