2019/10/09 19:04/鷦鷯飛蝗

排水溝に流れた蜘蛛は幻影

膚を刺す、冷たい焚火と筵敷きの床

この月も、あの星も

その心根でもなくて

わからないだけの遠吠えこそが

手折る遼華りょうかをも燃やしてる

茶器に残る膚撫はだなでを

幽かになぞる死人しびと詰めるとも

瑕疵を知らず

さきも知らぬ

蟠れもしない手と手

朔として、杳として

足取り知らず便りだけ

耳元流す風の願いだけ

零れそうな

泪、にまなこできっと栓をして

詰まりそうな

足取りも仄かに君が押している

奪ったならば

寂しさに

逃げ込もうとか

選べども砂地にあかあかと

いきを描いていた

ただ君を欠いていた

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