2019/08/27 22:54/鷦鷯飛蝗

誰も歌い疲れてなんか無い

歌いたくないわけでもない

ただ君の声を聴くために

君の震えを纏うために

僕はきっと、もっと、歌わなくちゃ

閉ざされた君の胸を、震わせなくちゃ


独りでいるから

灯りがくすんでく

自分の光は

自分を照らせない

薄闇の中で弧を薙いで

光が何を描いたか、それでも僕にはわからない

そんなの嘘で、考えるのをサボってるだけ

君の声が聞けないのは

僕が声を出さないから


結び合わせて砕いた手の

カケラに世界契り採って

歪み任せに嵌め込んで

血糊に強張った掌

振るって

見える軌跡におと咲いて

溟いからこその燿耀ようように藍をんだ

涙が凍って形は指揮棒

彩り添えられた軌跡は櫂

漕ぎ出せる

墨に光沢

波にさね

吸い込んでは黯

輝いては乳染うそ

碧紺流して稲光の束

柔らに撓めて吹き散らせ

塗り込めた世界でおと放て


震えたかな、君のからだ

歌えたよ、僕の聲で

聴かせてなんて急かさない

もっと、もっと、うたうよ

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