2019/08/20 22:29/鷦鷯飛蝗

響かない疾風と黒ずんだ床板を撫でる

記憶の断片がそこに切り出されていて

死んでからの積み重ねがきっと染みている

真鍮の経年に黄昏

憂いと怠惰に満ちた光が辺りを包んで

軒先の陽射しは横ざまに僕らを貫く

そのせいでこうして汗を着て

湯呑の水出し茶は氷の亡骸に薄められていく

寄ってきた蚊に引導を渡す、線香は効いてないらしい

雰囲気にだけ影響するその香りが

僕らの距離から意味を奪う

なぞれない右手が影に没して

浮かぶ眼も雲に隠れる

黄金が燃えて、真っ赤に僕ら閉ざされた後

何もなくて、ただ少しぬるいお茶が残ってた

場当たり可逆の変化もなく

寂しい笑みだけでそのを終わらせて

浴衣のいろどりも月だけじゃ見えない

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