2019/08/11 19:55/鷦鷯飛蝗
君と花火を聞いている
遠く、夜長
病棟の窓は川を向かない
趣を湛えた顔で目を閉じて
直射日光を知らない肌が
藍と緋暮れに浮かんでる
薄布を擽る微風が
僕らを撫でて通り過ぎていく
音も一緒に
どんなかたちかも知れない花火が僕らの耳を撫でる
遠く夜道を思う
畦道の夜空
去年の今頃
これで終わりにできたらいいのに
君はまたそんなことを言う
これが一番きれいなさいごだ
あの時の帰り道もそう言った
きっと紅葉の絨毯を
眺めてまた君はそういうのだ
たぶんもっと細くなった首をふるわせて
もっともっと軽くなった体で
降りしきる雪を見てきっと
君はまたそういうのだ
そうして、そのときこそほんとうにさいごだとわかっているから
僕は今目を閉じている
あら、寝てしまったの
この夏の日に
やけに冷たい手で
頬に触れてくる
触れたとこから涙が染み出て
狸寝入りも見透かされちゃうんだ
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