2019/07/26 22:51/鷦鷯飛蝗

何もない空間で

独りで立ってた

いつもどおりの通学路

空っぽのまま立ってた

泣かない鼓動を

拾い損ねたまま

脚の動かし方も

忘れて

歩いてた

坂道は黙っていない

叢は揺れるし鳥も泣く

波打つ蜘蛛の巣たちの結節点が音も無く

瞬いていた

瞬いていた

絡めとられた骸の澱の下

かがやいていた

かがやいていた

死んだ色に

きらめいていた

いた、んだよ

だもんでぼくもシ人になって

口、ぽっかりあけて歩いてみる

そうやって僕はシ人になって

心、ぼっかりあけて歩いてみる

脚の動かし方を忘れて

世界、大好きだよ、みたいな顔で

何にも考えない、なんてことも考えないで

気付けば、知らない街の奥

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