2019/07/10 15:04/鷦鷯飛蝗

歯が抜ける恐怖に怯えている

玻璃の翳、みまかる猖獗と

星が瞬かない、腫れ上がった夜空の

嘆きに溺れて、蔦葛

かき込む手筈と地鳴りの初御

蜘蛛の巣に結節する雨滴の星々

そうして今や地に墜ちた星たちが

方々でまだ煌めきを魅せている

寧ろこうして、生きるに値する美しさを主張するために

降りてきてくれたのかもしれない

いずれにせ夜空に星はなく

晴れ《腫れ》渡っていて宛はなく

この惑星ほしがこそいずかたなりと堕ちたのやもと思われる

ひっくり返った石灯籠の冠に

濁った雨水が溜まって

夜露と混ざり合い

そこには確かに星が溶けているのに

その水が映しているはずの空は死んだまま

日も昇らず

月も昇らない

常闇の贄で

何を救うの

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