2019/07/08 15:39/鷦鷯飛蝗

側溝を流れる水の煌めきとか

蔦の這う古壁のいろどりとか

そういうものたちのおかげで

きっと息が吸えている

排水溝の毛屑とか

洗ってもとれない臭いとか

そういうものたちのせいで

きっと吐息は饐えている


軋みあう行く末も

嵩に溢れて

軽い、軽い小鳥の

電線から身を乗り出す姿に気付かない


濁りきった水槽の水を換えたとき

そこにいたのは名も知らぬ甲殻類で

いつか買った熱帯魚の影も形も無かった

そういう風にして今ここに取り残された俺の


吐き戻すあれこれの

得体の知れなさに

惑うのだ

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