2019/05/20 17:58/鷦鷯飛蝗
「そんないいものじゃないよ」
雨の匂いなんて、
と母さんは言った
水が涸れた年
巡るはずのものが途絶えたのはずっと昔のこと
母さんがまだ子供の頃のこと
語られなかった思いと
告げられなかった託宣を頼りに
僕は旅に出た
大層なものじゃなかった
水を見つけなくちゃいけないだけだった
でも、見つからなくて、どこにもない、ありはしない、ので、
どんどん遠く、すべての理由と、水と、どっちがほしかったのかもあやふやな日々
辿り着いた水甕は、
まわりまわって枯れ果てた、僕の旅立ちだった
龍神は荒れ狂う川の神とされ、それは誤解であり、寧ろ吸い上げ涸らすものだった
そんなこと知らないままに
今更帰れもしないと
前だけ見ていた僕は
今更こんなになった村を
ただ突っ立って見てる
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