2019/05/17 12:44/鷦鷯飛蝗

鏡面を滑る鳥たちは

囀りながら空に降り立つ

向こう見ずな陽射しが

病的な僕の白をなぞって

浮き上がった血管とか

どういうわけか走る筋肉痛とか

そういったものに死を指摘しだす


僕は図書館の半地下へ逃げ込んで

一定の温度と湿度に

羊水に包まれる子供のように

抱かれて眠る


ずっと変わらないこの環境の中で

不変を普遍と言い做して

塵に埋もれて嚔なんてかましてたい

誰もいない、密な書架と書見台の吹き抜けとに

反響してかえってくる

僕は本を閉じて伸びをする

たまに窓から人の往き交う靴の群だけ見たりして

どこもかしこも夢だらけ

寝るも醒めるも夢だらけ

忘れないで

掠れないでいて

探さないでおいて

いつもいつでも

幸せ、なんだから

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る