2019/04/24 10:30/鷦鷯飛蝗

忘れられた、気付かれなかった島

見付けられた、思い出された島


舟を泊めて、岩肌を登っていこう

隠された泉にもぐりこもう


光湧く穴に飛び込んで、エアポケットの向こう側へ!


発光する壁、水中、並び立つ小柱


意匠は蔦、芽を綻ばせて

日本に沿われたひとつ、ひとまわり堂々と

蔦のなか、柱の上端

半跏思惟の図

見極め得ぬシルエット


息を継いで、何度だって潜った

ずっと見ていたかった


そういうものだから沈められ、そういう島だから忘れられ、そのように努力が払われてきたというのに


思い出されることなくここまでこれたというのに


見つけてしまった

震えてしまった

忘れることなどかなわぬ時代に

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る