2002年2月22日 「映像の原則―ビギナーからプロまでのコンテ主義/富野 由悠季」

2004年に富野監督の本書「映像の原則―ビギナーからプロまでのコンテ主義」を購入して、もう17年も積ん読だったのですよ。

ただそれも理由があって。買った当初は映画は好きだけど、映像も初心者だったので、正直にその理念が1分位しか分かりませんでした。概念こそ受け止めましたが、咀嚼して活用出来るかなが当時です。


では何故今かと言うと。技術発展が著しくスマホやタブレットの端末があれば何でも出来て、その編集過程の可視化が可能になったからです。

そこで富野監督の言ってる事はそうなのかとページが進みました。

本書でもCGクリエイターからフレームの悩みを相談された一コマが有りましたが、富野監督は即答で答えています、20年近く前で看破しているのですから、逆に今だからこそ富野監督のイデオロギーが格段に必要かと思います。


また個人的に興味深かったのを幾つか。


アフレコの位相の問題に触れています。音が何故引っ込むかです。これを本能で分かるのが、実に富野監督らしいです。コンテでゼロ以下のタイミング迄指示出来るからこその神業と言えます。


実はこの音響問題、所謂位相の話は、プロ音響さんならば現場で叩き込まれた直感の技術でした。それがDigital Audio WorkstationのProTools等が発展してこその可視化で浮かび上がってきた問題で、技術職でなくても漸く位相とはの話題になっています。ただ、これ迄の富野監督何者かしか有りません。アフレコには進んで行くようには深い矜恃が伺いしれます。


台詞をコンテ進行に伴って変更して良いかも、良いになっています。

それはキャラクターの個性であったり、声優さんの個性出会ったり、いや芝居の前後の解釈等を深く考えると、どうしてもタメは必要になります。ここは文章書き始めてから、深く感じ入ってた事で、ここそこにタメ使って正解なのだなと、確信を貰えました。


あと非常に大切な事です。

人気が出る秘訣とは何かについては、時代に乗る事と富野監督は冗談ではなく本気で語っています。ここはカクヨムに置き換えるとファンタジーに傾倒するのは非常にマッチしてます。

ここだけ抜き取ってしまうと大変語弊があるので、まずは「映像の原則」の原則を読み解いてからのアドバイスと受け取りましょう。もう一つ添えれば富野監督曰く原則とは時代に支配されないものという事です。



そう確かに読みましたけど、もう少し技術が進むと、実は富野監督の言っている事はこう言うコマンドなのだよになりそうです。その仲立ちにいる富野監督は一生現場にいて欲しいなしか有りません。


本書も、改訂版が2011年に出版されている様ですけど、編集の方次第で20年代のアンセムな教書になるかと思いますので、更なる改訂の際には深掘りして欲しいとただ願います。

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