小咄『こばなし』

長屋11号室

ねこ

 我が家には一匹のねこがいる。 父がある日このねこをどこかで拾ってきたのだ。


このねこの毛は白く一般的なねこよりも丸く、足は短い。そしてなぜか浮くのだ。名前は「ふう


なぜ「風」というのか、というのもある日なにげなくこのねこの歩く姿を眺めていると突然フワァと風船のごとく宙に浮かび上がってしまった。

そしてそのまま家の天井でとまったのだった。


しかしこのねこ自分が天井に浮かんでいるのに気づいていないのか両足をジタバタさせるばかりであった。


しばらくするとガスが抜けた風船のように力なく下に降りてゆき何食わぬ顔をしてトコトコと歩き出すのであった。


なぜこのねこが宙に浮くのかはわからないが、外に連れて行くときにはリードかたこひもを付けるべきだと思っている。

ちなみに、鳴き声はニャ~となんともねこっぽい。

 


 

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