永遠の35歳?

 実はわたし、亡き母の年齢を大人になるまで知りませんでした。


「お母さんって歳いくつ?」

 聞く度に母の答えは

「35歳!^^*」

 子供の頃はね、無邪気に騙されていたんですが、さすがに大人になると、ん?おかしいなぁ、お母さん、いつまでたっても歳同じ?って(いや、わたしも呑気すぎるというかねぇ)


 両親の歳に関して、わたしはあんまり意識したことが無くて、というか、母から、はぐらかされてばかりいたので。


 大人になってから真面目な顔して聞いてみたわけです。

「ねぇねぇ、お母さんって、本当は歳いくつなの?」


「……〇✕歳」


 え?


「だーかーらー〇✕歳!」


 お父さんは?

「……✕〇歳」


 え?え?


 父は母より10歳年上でして(両方とも初婚)

 今は歳の差カップルなんて珍しくないけれど、その頃は10歳差の姉さん女房っていうのはちょっと珍しかったみたいで。


 母なりの引け目みたいなのもあったのかもしれません。

 娘の目から見たら、母は若々しく、父と並んで違和感ないどころか、どうかしたら年下にすら見えるくらいだったんですけどね(笑)


 元々は同じ職場だったのですが、母のお見合いを父がセッティングしたりもした事があったらしい。


 それでもイザとなると、他の男にはやっぱり渡したくない!と自分の気持ちに気づいて、猛烈アタックしたみたいて。


 頬を染めながら語る母は可憐でありました。

 横で、ウンウンと頷いている父もなかなかに頼もしく。


 それから母は歳を聞くと決まって

「永遠の35歳!」

 と言っておりました(笑)


 茶目っ気たっぶりの顔して。


 わたしも今度から歳を聞かれた時には

 ニッコリ笑って

「永遠の35歳!」

 と言おうかしらん、と密かに企んでおります。


 ダメ???

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