幻の檸檬氷
これはわたしが高校生?の時のちょっと不思議な?話なのですが・・・。
ある夏の日にわたしは喫茶店に入りました。その喫茶店は見かけてはいたものの入るのは初めて。
とにかく暑かったので、かき氷の文字にフラフラとお店の中へ。
ドアを開けるとカランカランと軽やかにベルの音がして涼しい空気にちょっと一息。
どうもお客さんはわたしだけみたい。
こんな日にはやっぱりかき氷が食べたいなぁ。
だけど、ちょっと問題が。
いや問題ってほどではないんですが・・・。
今はちゃんと果汁を使った甘酸っぱいシロップがあるけど、その頃のかき氷シロップといえば色こそ違えどみんなほぼ同じひたすら人工甘味料の味がする(いえ、アレはあれで懐か美味しい(造語です)のですが)ものばかりでした。
その時もメニューには
イチゴかき氷
レモンかき氷
メロンかき氷
とあって
その頃から筋金入りの酸っぱリスト(造語2です)だったわたしは
「あー多分これ、みんな同じような味なんだろうなぁ。けどとにかく少しでも酸っぱそうなものを・・・」
と、レモンかき氷を選んだのでした。
待つこと暫し。
汗もやっとひいてきた頃に、レモンかき氷到着。
おや、レモンかき氷といえば、目も覚めるかというくらいのレモン色シロップがかかっているはずなのに、薄っすら透明なレモン色です。
???と不思議に思いながら、ひと口。
こ、これは!!
レモン果汁の味、ちゃんと甘酸っぱい檸檬味です。
美味しーーーい!!!
夢中で食べました。
気が付かなかった、こんな近場に本物の檸檬かき氷を食べさせてくれるお店があったなんて。
お金を払い、その喫茶店を出たわたしは忘れないように早速、愛用の手帳に喫茶店の名前と大まかな場所をメモしました。
絶対にまた来るぞー!夏の間は通いつめるもんね!と密かに決意しつつ。
そして後日。
意気揚々とわたしは喫茶店の前に立っていました。
店名間違いなし。場所も外見も此処です。
お店に入り、お!今日は他にもお客さんがいるな。
メニューを見て、レモンかき氷を確認。
そして、注文して待つこと数分・・・。
あれ??レモンかき氷は檸檬じゃなくて見慣れたレモン色、しっかり着色されてるあのシロップです。
あ、味は・・・やっぱりあの人工甘味料の甘さ・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
なんで??あのかき氷を食べてから、そんなに日にちは経っていません。
お店の外見も内装もそのまま。
なのにかき氷だけが違う・・・。
ショックを受けながら食べ終え、お金を払いお店を出て・・・。
狐につままれた気分。
呆然としたまま帰宅して・・・
後日、諦めきれずにもう一度行きました。
やっぱり出てきたのはあの普通のレモンかき氷。
今なら、お店の人に尋ねてみたりできたかもしれません。
でも、あの頃は恥ずかしくて出来なかった。
肩を落とし、お店を出てから後、そこの喫茶店には行っていません。
内気な少女でありました。
そんなわたしの幻の檸檬氷の想い出です。
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